社長ブログ
直接工事費の真実とこれから
これまで、各方面から依頼を受けた際には、これまでの慣習や「失礼がないように」「他社に負けないように」という気持ちから、
直接工事費に30%を掛けて経費を算出し、請け負わせていただいてきました。
しかし、もう限界です。
意外と知らない方が多いので、なぜ無理になったのかを説明する前に、簡単に「直接工事費とは何か」をお話しします。
直接工事費とは
直接工事費とは、実際に工事をつくるために必要な費用のことです。
具体的には
労務費(職人・作業員の人件費)
材料費
重機や機械の使用料
これらを合計したものです。
例えば、側溝を1mあたり2万円の直接工事費単価で施工する場合、1日10m施工すれば20万円の売上。
そこから原価を引いた分が利益、というイメージです。
かなりザックリですが、その直接工事費がもう割に合わないってことです。
なぜここまで乖離してしまったのか、主な理由を挙げます。
① 材料利幅がない
役所の方からすると、「直接工事費に材料利幅を取るのはおかしい」と言われるかもしれません。
しかし、材料を発注するまでには
図面の精査
現場調査
納入日の手配
切り物の割付・加工
などが必要で、どうしても端材ロスも多く発生します。
ここに利益が乗らないと正直厳しい。
② コンサル(設計)の質が下がった
昔は、設計書を商社にFAXして発注すれば良かった時代。
しかし今は、すべて「疑ってかかる」のが前提になり、現場の負担が大きくなりました。
結果、現場の進捗も大きく左右されます。
③ 地下埋設物が多くなり難易度が増した
以前は、地下埋といえば水道やガス程度でしたが、今は主要道路の電柱電線は地下に埋設されています。
図面だけが頼りなのに、それを損傷すれば即罰則。
つまり、地下には時限爆弾がゴロゴロしていて、掘るのがどんどん難しくなっています。
このほかにも要因は多くありますが、代表的なのは以上です。
時代は変わりました
人件費も材料費も高騰
図面の精度は低い
地下には時限爆弾だらけ
工事のリスクはどんどん上がっています。
国交省も毎年単価を見直してはいますが、ベースアップ程度で劇的に変わることはありません。
それでもやる業者がいる理由
「じゃあなぜ、それでも請ける業者がいるの?」と思うかもしれません。
答えはシンプルで、
やらないよりマシだからです。
元請けは共通仮設費や現場管理費などが別途つくため、赤字にはなりにくい。
だからこそ成り立っています。
問題は下請け
しかし問題は、下請けだけではもう食べていけないこと。
役所からの請負金額100%を下請けに払うわけがなく、どこかで必ず叩かれる業者がいます。
手間請できません。
これを変えたい
福岡市だけでも建設会社は山ほどあります。
でも、下請けに回る会社は限られています。
下請けが儲からなければ、工事は不調・不落となり、停滞していきます。
中小企業にしかできない案件も多いのです。
だから私は、私のような下請け業者が適正な価格で工事を請け負えるよう、これからも各方面に働きかけ、頑張っていきます。
まずは各方面に、この厳しい現実を知っていただきたいです。
そしていつか、下請け業者が適正に報われる業界をつくっていきたいと思います。
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